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平成28年6月1日

定年後再雇用・賃金引下げが違法に―5月13日 東京地裁判決


 定年後再雇用されたトラック運転者3人が、定年前と同じ職務にもかかわらず3割程度賃金を下げられたのは違法として定年前と同じ賃金を支払うようN運輸(株)(神奈川県横浜市)に求めた裁判で、東京地方裁判所(佐々木宗啓裁判長)は、賃金引下げを労働契約法第20条に違反し無効とする判決を下した。定年後再雇用の嘱託職員にも同法が適用されるとしたうえで、正社員と職務内容や配置の変更の範囲が同じ場合、特段の事情がない限り、賃金に相違を設けることは不合理としている。
 ・・・法的には定年は60歳である。これを年金制度の支給開始時期引き上げなどの理由により定年後、従業員が希望すれば65歳までの雇用を継続させる制度を法律で課せられた会社は、如何にして雇用を維持しつつ負担を抑える工夫をしなければならない。定年後、職務の変更や人事的活用等で仕事の中身や責任の範囲等が変わり、定年前と相違するのであれば問題がない。
 しかし、中小企業などは、職務の中身を分析・評価して職位の「基準」を明確にはしていない場合が多く仕事の中身を明確にしていないのが現状である。またこのような人事制度を導入している企業も少ない。また運転手等初めから仕事が限定されて採用されている者は、他の業務に従事するのが困難な場合が多いので、定年前と定年後の仕事(業務)や条件等を工夫する必要が生じる。
 今回は下級審での判決であるので、その後の経緯がどうなるか注目に値する。






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