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平成28年11月1日

遅々として進まない労働改革?


 各種労働法を改正するためにどの程度の期間を要しているかが分かる資料が、厚生労働省から明らかになりましたので、その興味深い点をご紹介したいと思います。労働法改正といえば、国会審議において「与野党対立法案」と位置付けられるケースが少なくなく、「継続審議」が何度も繰り返され、国会上程から成立まで異様に長い期間を要することがあります。
 現時点でも、労働基準法改正案が継続審議となっていて、次期通常国会での成立をめざしています。今回、労基法改正が長引いているのは、昨年の参院選を前にして与党の方が、腰が引けていたという事情がありました。最悪だったのは以前の「ねじれ国会」でした。主要な労働改革がほとんど進まなかったという記憶があります。
 さて、実際にどの程度の期間を要しているかをみたいと思います。平成25年6月の日本再興戦略に盛り込まれた労働者派遣法改正案は、研究会での検討から労働政策審議会を経て国会での審議、そして成立まで35カ月も掛かりました。つまり、検討開始から約3年ということになります。その前の「ねじれ国会」の時の派遣法改正では、途中で法案見直しなどもあり、何と50カ月掛かったという前歴もあります。 このほか、労働契約法改正案(24年成立)では、検討会の開始から成立までに42カ月、一昨年のパート労働法改正案(26年成立)では39カ月、高年齢者雇用安定法改正案(24年成立)では27カ月などという状況です。
 問題は、法案起草から何年も経過した段階で成立しても時代遅れになってしまう点です。法改正は、1法案当たり数年のサイクルで継続して行われていきますので、成立までに3年も4年も要するということは、1サイクルを飛び越えてしますという結果になりかねません。重要法案こそ長引くという実態を何とか改善しないと、労働改革は常に時代遅れとなってしまう恐れがあるのです。
(年金法案は、11/1に無事衆議院を通過し、今国会成立に目途が立ちこのままですと老齢基礎年金の年金受給には25年を必要としていましたが、10年間で受給できることになり、来年10月支給分(法律施行2017.8で9月分)から新たに受給できる人たちが約65万人になるそうです。)





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