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令和3年6月1日

~今年も最低賃金引上げは無理…~

今年の最低賃金引上げは、どう考えても見送りが正解ではないでしょうか。政府は、新型コロナウイルス感染症拡大による経済・雇用への影響等を踏まえ、「引上げ額の目安を示すことは困難であり、現行水準を維持することが適当」とした前年の方針を変えるべきではありません。今年の中小企業の状況が改善したとはいえません。
日商などは、最賃の「現行水準の維持」を内容とした要望書を政府に提出しました。多くの中小企業は雇用調整助成金などの各種支援策を活用しながら、「事業の存続」と「雇用の維持」にギリギリの努力を続けていますが、感染による影響が長期化し収束が見通せない中で、こうした努力も限界に達し、倒産・廃業が日を追うごとに増加することが懸念されますと訴えていて、これは理解できます。
先月、経済財政諮問会議で表明された「緊急事態宣言解除後のマクロ経済政策運営の課題」として、最賃を引き上げて、経済の好循環を達成すると謳っていましたが、何を考えているのか理解できません。
現在の環境で最賃引上げなど表明できないはずです。コロナ禍の影響を受けている事業者の多くでダブルパンチとなってしまいます。
最賃引上げの背景には、世界的にみても数が多い中小・零細企業の整理・統合の考え方が横たわっているようです。最賃引上げを実施して、これに耐えられない企業は整理・統合の対象とすべきという方針です。 政府の成長戦略会議では、中小企業の合併を通じた規模拡大等による生産性向上を進めるため、経営資源の集約化(M&A)を税制面でも支援することが重要としていたり、大企業と比較した中小企業の生産性は5割に留まっているため、規模拡大による生産性向上が必要などと、中小企業を問題視する多数の指摘があります。
生産性向上は、設備投資の強化が王道です。それには、デフレ傾向からの脱却が不可欠です。デフレ脱却を狙いとする需要喚起対策が全く不十分なレベルであることを考えると、再び間違ったマクロ経済政策が行われているとしかいい様がありません。アメリカ経済の大復活をみれば一目瞭然です。このままだと「失われた40年」により、日本の世界的な地位はさらに低下するでしょう。早急に大規模補正予算を組むべきです。

<労働新聞>





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