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令和3年9月1日

~耳を疑った過去最高の目安額――最賃審~

厚生労働省は、2021年度骨太方針の意向に沿って地域最賃の引上げへ目安を示しました。それも、過去最高額の28円で、耳を疑ったほどです。なんで今、過去最高額なのかの理由に説得力がありません。
その理由の柱は、政府が「より早期に全国加重平均1000円をめざす」としているところ、今年度の状況を総合的に勘案すれば、平成28年度から令和元年度まで3.0~3.1%引き上げてきた時期と比べて「大きく異なるとはいえず」、最低賃金をその時期と同程度引き上げた場合にマクロでみた際の雇用情勢に大きな影響を与えるとまではいえないためとしています。
アベノミクスで、僅かではありますが経済成長を遂げていた時期と、コロナ禍真っ最中の現状とが「大きく異なるとはいえず」とする見解は、とても受け入れることはできません。2016年から2019年の名目GDPは、544兆円から561兆円に増加しましたが、2020年に539兆円に減少、そして2021年は推計で560兆円に回復するとされています。GDPは、毎年数パーセントは成長していかなければ、正常とはいえません。ほとんど成長しないということは、経済を新しく上昇させる力がなくデフレ状態で、実質上貧困化しているということです。
世界先進各国は明らかに力強く成長しているので、相対的な生活レベルに加え、国力、軍事力も低下しています。
2021年の推計値560兆円は、アベノミクス時と比較して全く成長していない規模といえます。 言い換えれば数年前の規模に縮小しています。アベノミクスで少しは明るい見通しをしていた時期と、数年前の経済規模に逆戻りした現状が同じなのでしょうか。
GDPが数年前と同じだから、国民の生活や意識も同じということはありません。
今後は、中小零細事業の存続と雇用維持をめざした経済支援策を強化し、マイナスの影響が出ないようにしなければなりません。業務改善助成金の支給拡大とともに、GDPの拡大のための大規模財政出動が必要です。本来仕事に就けたはずの者が、就けなくなる可能性もあります。 政府は、赤字財政拡大を恐れて財政出動しない代わりに、中小零細事業に負担を負わせて強制的に賃金を引き上げようとしているとしか思えません。

<労働新聞>






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