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令和5年8月1日

~労災認定基準改正で心理的負荷の強度がイメージしやすく~


厚生労働省は、精神障害に関する労災認定の判断基準となる新しい「心理的負荷による精神障害の認定基準」案を公表し、パブリックコメントの募集を開始しました。認定基準の改正は、近年の労災請求件数の増加や社会情勢の変化を踏まえ、審査の適切・迅速化を目的としています。
認定基準改正の柱は、「業務による心理的負荷評価表」の見直しと、既存の精神障害が悪化した場合における業務起因性が認められる範囲の拡大、医学意見の収集方法の効率化です。
新たな心理的負荷評価表では、心理的負荷の評価項目となる「具体的出来事」として、新たに「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(カスタマーハラスメント)などを追加するとともに、細分化されていた項目を一部統合し、全29項目に整理します。
そのうえで、すべての項目で、心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」と判断される具体例をそれぞれ明らかにします。現行の評価表では、「強」「中」「弱」に該当するケースがすべて示されていたのは一部の項目に限られていました。既存の精神障害が悪化した場合の判断に当たり、これまでは悪化前のおおむね6カ月以内に極度の長時間労働など「特別な出来事」がなければ、業務起因性を認めていませんでした。改正後の認定基準では、特別な出来事がなくても、業務による強い心理的負荷が認められる場合には、悪化した部分について業務起因性を認めることとします。
医学意見の収集方法については、従来は専門医3人の合議による意見収集が必須だった、精神障害の受診歴がない自殺事案などであっても、専門医1人の意見で判断できるようにします。厚労省は、9月上旬にも改正認定基準に関する通達を発出する方針としています。 心理的負荷評価表の見直しによって、心理的負荷の強度に応じた具体例が大幅に拡充されるため、事業主・労働者双方にとって、労災事案に該当しそうかどうかを事前にイメージしやすくなります。
企業においては、新しい評価表を精神障害に関する労災防止にぜひ役立ててほしいと思います。

<労働新聞編集>






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