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令和5年9月1日

~最低賃金の「目安」 3ランク制移行で地域間格差は~


中央最低賃金審議会(中賃審、藤村博之会長)はさきごろ、今年度の地域別最低賃金改定の「目安」について答申をまとめました。地域の経済実態に応じて全国をA~Cの3ランクに分けるとともに、ランクごとに引上げ額の目安を示しています。引上げ額はAランク41円、Bランク40円、Cランク39円としました。昭和53年度に目安制度を導入して以来4ランク制でしたが、今年度から3ランク制に変更しています。
3ランク制への変更は、最低賃金の地域間格差の拡大を抑制・是正することが狙いです。中賃審の「目安制度の在り方に関する全員協議会」が、今年4月にまとめた報告書のなかで提言しました。報告書では、「ランク区分が多ければ、その分、ランクごとに目安額の差が生じ、地域別最低賃金の差が開く可能性が高くなることを踏まえ、ランク区分を減らす」、「ランク数の変化による影響をできるだけ軽減するため、現行の4ランクから1つ減らした3ランクとする」としていました。これまで中賃審が示した目安額は、下位区分が上位区分を上回ることはありませんでしたが、報告書は、地域における労働者の生計費や賃金、企業の賃金支払い能力の状況によっては、下位区分が上位区分を上回ることも理論上はあり得ると指摘しています。
今年度の目安によると、ランクごとに1円ずつ差を設けた結果、東京、大阪など6都府県が対象のAランクと、一部を除く東北、九州など13県を対象とするCランクとの引上げ額の差は2円となりました。
目安どおりに引き上げられた場合の最賃最高額(東京・1113円)と最低額(青森、佐賀など9県・892円)の比率は80.1%となり、初めて8割台に到達します。最賃の金額差の改善につながる目安ではありませんでしたが、比率の面では地域間格差が縮小する見込みです。8月7日には、最賃が最も低い地域の1つである秋田県の地方最低賃金審議会が44円の引上げを答申するなど、すでに目安額を上回る額を答申している地域もあります。地域間格差の是正がさらに進むかどうか、各地の調査審議の結果を注視したいと思います。

<労働新聞編集>






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